Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
和紙
東野辺 薫
Lesen Sie 和紙 (わし) von 東野辺 薫 (とうのべかおる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.557 Zeichen · 70 Bildschirme
自分のように、始終結婚というものの不安に恟えているよりも、いっそ、そういうことになってしまえば、何もかもはっきりするのではないだろうか。と、そこまで考えた時は、烈しい羞恥に身うちの血がかっと燃えた。今、福島市の印刷会社に勤めている許婚の良三郎は、まるでユミには冷淡で、彼女を鼻のさきであしらったうえ、二言目には、村の娘達はニュース映画も見られまいと、それがユミの落度ででもあるかの口吻だった。昭和九年の不況時代に、良三郎の家からユミの父は大分金を借りたのだったが、その時親同士が勝手にきめたそんな古風な約束事にも、そうしたものと思い込んで敢えて反撥しようともせず、好きにはなれそうもない良三郎に嫁ぐ気ではいるのである。が、どこから取りついていいのか手がかりのつかない良三郎と、しかも村を離れて福島の町に住むのかと思うと、何とも言えない憂鬱に圧しつけられた。
「……みんな幸福だわ。よっちゃんだって仮祝言もすんでるんだし。」
現在、北方の第一線にいる、同じ部落内の繁治とよしとの仲は、これは公然のものだったから、笑っただけで別に気まり悪がりもしなかったが、よしの気持にすれば、そういうユミもきまっているのではないかと、すぐに酬いられない窮屈さがあった。