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Japanische Klassiker mit Furigana

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わし

和紙

東野辺 薫

Lesen Sie 和紙 (わし) von 東野辺 薫 (とうのべかおる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.557 Zeichen · 70 Bildschirme

Aozora Bunko

――応召者として苟もしない道義感はたしかにあった。が両親の知らない、子供の出来た女を残して征った弟とは対蹠的に、表面全く異性との色彩を持たない潔癖を誇ろうという、低俗な見栄も多分に働いているのではなかったろうか。しかし、これとても結局は、彼の逃避性が窮余に見出した自慰境に過ぎないのであって、従って一方には、濃い愛染の心を人知れず抱いて征く感傷の甘さがあるのだった。(しかも、そうした見栄や感傷がいかに愚かしい心の遊戯であったか、一度戦場に臨むと同時にはっきりと知らねばならないことは、友太自身すでに体験しているはずであった。)

原隊の町へ出発を明日にひかえた日は、夜来の雨が美しく霽れ上って、この頃毎日のように村の上空をよぎる飛行機が、高いところで眩しい弧を描くのだった。

ひと夏を漉き通したら、今年の冬は軍需紙まで手になれるに相違なかった。そうだ、どうしてもこの夏は漉き続けることにしようと、嬰児の汚れものを井戸端に運びながら、おときは自分の決心を口に出して言ってみた。

十一月に入って秋の仕事が一段落つくと、息つく間もなく漉始めの太子講が待っている。それから年を越えて五月のはじめの八十八夜まで、まる六ヶ月が紙の季節であるが、あとの半年をも耕作や養蚕の片手間に、暑さのためにすぐ腐敗し易い漉汁を加減しながら、やり続ける