Japanische Klassiker mit Furigana
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さいてゆくはな
咲いてゆく花
素木 しづ
Lesen Sie 咲いてゆく花 (さいてゆくはな) von 素木 しづ (しらきしづ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.478 Zeichen · 17 Bildschirme
少女は兄の強い腕や広い胸輝いてる瞳などを思出した。そしてまた兄の友だちの楽しい愉快な話しぶりや、元気な力強い歩き振りを考えた。そして、男性に対する絶望的な憧憬と、強い羨望の心が少女を苦しませた。
『なぜ男に生れなかったろう。』少女は、窓の硝子に熱いかすかな汗のにじんでいる額を押しつけて、裏の垣根に咲いている赤い豆のはなを見た。その時竹垣のすき間から裏道をつたって、友だちが軽やかなメリンスの浴衣を着て、やわらかな草履の音をたてながら、歩いて来るのを見た。やがて玄関に少女の名をよぶ声がきこえた。
少女は、しいて呼吸をひそめるように、なに物にか追われるような心でじっとしていた。母親のひきずるような足音がいそいで、此方に来て、母親は、彼女の部屋の襖を開けて優しく、
『お前、お友だちが誘いに入らしたんだけれども、今日はいかないんだろうね。』と云ったけれども、『お前、今日は行っちゃいけないよ。』とたしなめるような声であった。少女は玄関に母と友だちの賑かな声を聞いた。彼女はまた部屋に一人残されてしまった。
『もうあの人だちのお仲間入りは出来ないんだ。』
少女は家の中が再び静まりかえったことを思いながら、考えた。