Japanische Klassiker mit Furigana
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さいてゆくはな
咲いてゆく花
素木 しづ
Lesen Sie 咲いてゆく花 (さいてゆくはな) von 素木 しづ (しらきしづ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.478 Zeichen · 17 Bildschirme
けれども少女は、幾日もまた幾年も逢わない人のように、姉や兄の顔を見たかった。また母に云ってきのうのおいしかった十四号の林檎をたべたかった。そして姉や兄はどこへ行ってなにをしているのだろうと、むやみに恋しかった。茶の間の方に兄や姉などの声が入りまじって聞える時などは、みんなの楽しさにくらべて閉込っている自分の身が、殊更にあわれまれた。けれどもどうしても、自分はみんなのお仲間入りをして、楽しく話し合うというようなことは出来なかった。この変化があまりに自由であった少女の肉体に、どれだけの束縛を与えたことだろう。
少女は、一人でじっと悲しさや不安に沈みながらもふと今日は姉の活花の日であるという事を思出した。彼女は、美しい姉が今日は、どんな様子をしてどんな美しい花を持って行くだろうと考えると、それを一目見たいと思った。またきのう自分が学校で赤い羅紗のマークをつけて上げた兄のボールの襯衣をもう一度着て見せて貰いたかった。けれども彼女は動くことが恐ろしく不安だった。少女は、耳をすまして家の中の静かな事を考えながらまた急にかなしくってならなかった。
やがて、『行ってまいります。