Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うたのたてやましんじゅういっきょく

唄立山心中一曲

泉 鏡花

Lesen Sie 唄立山心中一曲 (うたのたてやましんじゅういっきょく) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.835 Zeichen · 61 Bildschirme

Aozora Bunko

(あの、旦那さんのお大事なものばかり。)

(へい、貴女の旦那様の?)

(いいえ、技師の先生の方ですが、その方のお大事なものが残らず、お国でおかくれになりました奥様のお骨も、たったお一人ッ子の、かけがえのない坊ちゃまのお骨も、この中に入っていらっしゃるんですって。)

と、こう言うんですね。」

小村さんと私は、黙って気を引いて瞳を合した。

藤助は一息ついて、

「それを聞いて、安心をしたくらいだ。技師の旦那の奥様と坊ちゃまのお骨と聞いて、安心したも、おかしなものでございますがね、一軒家の化葛籠だ、天幕の中の大革鞄じゃあ、中に何が入ってるか薄気味が悪かったんで。

(へい、その鍵をおなくしなすった……そいつはお困りで、)

と錠前の寸法を当りながら、こう見ますとね、新聞のまだ残った処に、青錆にさびた金具の口でくいしめた革鞄の中から、紫の袖が一枚。……

袂が中に、袖口をすんなり、白羽二重の裏が生々と、女の膚を包んだようで、被た人がらも思われる、裏が通って、揚羽の蝶の紋がちらちらと羽を動かすように見えました。」

小村さんと私とは、じっと見合っていたままの互の唇がぶるぶると震えたのである。