Japanische Klassiker mit Furigana
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うたのたてやましんじゅういっきょく
唄立山心中一曲
泉 鏡花
Lesen Sie 唄立山心中一曲 (うたのたてやましんじゅういっきょく) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.835 Zeichen · 61 Bildschirme
外は大概一週間に一度ぐらいなものですでなあ。」
「あの風呂を沸かしますのが。」
「さよう。」
「難有う――少しどうも驚きました。とにかく、そこいらまで歩いてみましょう。」
と小村さんが暗がりの中を探りながら先へ立って、
「いきなり、風呂を沸かす宿屋が半道と来たんでは、一口飲ませる処とも聞きにくうございますよ。しかし何かしらありましょう……何しろ暗い。」
と構内の柵について……灯の百合が咲く、大な峰、広い谷に、はらはらとある灯をたよりに、ものの十間とは進まないで、口を開けて足を噛む狼のような巌の径に行悩んだ。
「どうです、いっそここへ蹲んで、壜詰の口を開けようじゃありませんか。」
「まさか。」
と小村さんは苦笑して、
「姨捨山、田毎の月ともあろうものが、こんな路で澄ましているって法はありません。きっと方角を取違えたんでしょう。お待ちなさいまし、逆に停車場の裏の方へ戻ってみましょう。いくらか燈が見えるようです。」
双方黒い外套が、こんがらかって引返すと、停車場には早や駅員の影も見えぬ。毛布かぶりの痩せた達磨の目ばかりが晃々と光って、今度はどうやら羅漢に見える。
と停車場の後は、突然荒寺の裏へ入った形で、芬と身に沁みる木の葉の匂、鳥の羽で撫でられるように、さらさらと――袖が鳴った。