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Japanische Klassiker mit Furigana

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とらわれ

囚われ

豊島 与志雄

Lesen Sie 囚われ (とらわれ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.848 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

「何処かへ行きませんか。」とある時恒雄は孝太郎に云った。

それは綺麗に晴れた日曜の朝であった。静かな小春の日光が、何処かに小鳥の囀るような気持ちを齎していた。

「そうですね。」と孝太郎は曖昧な返事をした。

種々な郊外の名所の名が恒雄の口から出た。そしてしまいには鎌倉附近を一日遊んで来ようということになった。

然しその時孝太郎は一種の懶い疲労を感じて、白日の下に恒雄と一緒に歩くことが何とはなしに躊躇された。澄み切った空に満ちた光線や、黄色い銀杏の葉や、静かな野や海が彼の頭に映じたけれど、それを見る自分の心が何となく気付かわれた。

「富子さんは?」と何気なく聞いた。

「富子も一緒につれてゆきましょう。」と恒雄は答えた。

富子が来た時、恒雄は孝太郎の顔をちらと見てこう云った。

「今日鎌倉に行かないか。」

「え? どうして。」

「ただ遊びに行くのさ。」

「私は……、」と富子は顔を上げて二人を見た。「あなた方二人で行っていらしったら。」

三人の間に訳の分らない躊躇と不決断とが暫く続いた。

「私が留守居してあげましょう。」と孝太郎は云った。そして富子の方に向いて、「ねえ、行っていらっしゃい。