Japanische Klassiker mit Furigana
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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
Lesen Sie 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) von 森田 草平 (もりたそうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.183 Zeichen · 112 Bildschirme
小平太は思わず一歩後へ退ったが、もう晩かった。女は何の気もなくがらりと裏の戸を開けた。そして、思わぬ人の影に、「あっ!」と吃驚したような声を上げた。それでも気丈な女だけに、手燭を上げて、おずおず相手の顔を見遣りながら、
「まあ、旦那様でしたか。こんな所に立っていらして、本当に吃驚しました!」と言いだした「いったいどうなすったのでございます?」
小平太は棒立ちになったまま、返辞もしなければ、また動こうともしなかった。
「今ごろお出でになろうとは存じませんので、一人で仏壇にお灯明をあげていたところでした。さあ、どうぞこちらへおはいりくださいませ」
こう言いながら、おしおは先に立って家の中へはいろうとした。
「はいってもいいね?」と、小平太は始めて口を利いた。
「まあ、何をおっしゃいますことやら、あなたのお家ではござりませぬか」と、おしおは手を取るようにして男を座敷へ上げた。それから行灯を持ちだして、小平太の前に手をつかえながら、あらためて挨拶をした。「もう二度とはお目に懸れぬようにおっしゃってでしたのに、今ごろお出で遊ばしたのは、ああ分った、お話しのことはまたぞろ日延べになったのでござりましょうね?」