Japanische Klassiker mit Furigana
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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
Lesen Sie 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) von 森田 草平 (もりたそうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.183 Zeichen · 112 Bildschirme
必定一党の死は極まった!」
彼は頸の上に振上げられた白刃をまざまざと眼に見るような気がした。同じように感ずればこそ、理兵次も垢を含んで遁亡したものに相違ない。といって、自分は今さら命惜しさに同志を裏切る気にもなれなければ、またそれだけのあつかましさも持合せていない。
「なに、俺一人で死ぬのじゃない」と、彼はしばらくしてようよう乾燥いだような声で呟いた。「死ねば皆いっしょに死ぬのだ!」
こう自分で自分に言って聞かせてから、何人も見ていたものはなかったかと心配するように、そっと眼を上げてあたりを見廻した。気がついてみると、じっとりと頸筋のまわりに汗を掻いて、自分ながら顔色の蒼醒めているのがよく分った。
その後も、小平太はできるだけ自分の心の動揺を同志の前に隠すように努めた。もっとも、彼が同志に心のうちを覚られまいとするには、もう一つほかに理由があった。それは彼に一人の情婦があったからだ。亀井戸天神の境内で井上源兵衛の娘おしおに出逢って、あわれな身の上話を聞いてからというもの、宿へ帰ってもその女のことが気になって、どうも心が落着かなかった。で、明くる日はさっそくわずかばかりの手土産を持って、かねて聞いておいた七軒長屋に母親の病気を尋ねてみた。