Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よっかのあやめ

四日のあやめ

山本 周五郎

Lesen Sie 四日のあやめ (よっかのあやめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.200 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「あの朝、大洲へいった者たちは、私が来るものと信じていた」と主税介は云った、「私が来ないかもしれないなどとは、一人も疑ってはいなかったろう、――向うには通次多仲がいて、存分に斬りまくった、段の違う多仲に斬りまくられ、味方がばたばた倒れるのを見ながら、みんな、いまに五大が来る、五大さえ来れば、……と思っていたんだ」

千世はふるえだした。がたがたと全身がふるえるので、泣きじゃくりの声が、(喉で)なにかがころげるように聞えた。

「そのときのみんなの気持がどんなだったか、それをよく考えてみろ」と主税介は云った、「斬り死にをしたり傷ついた者の、親きょうだいや妻の身になって、おまえ自身が良人を斬られた立場になって、よく考えてみるがいい、――おまえの大切な花を切ったことは悪かった。勘弁してくれ」

そして主税介は寝間へ入っていった。

――着替えの世話をしてあげなければ。

こう思いながら、千世は立つことができず、やはり顔を掩ったまま坐ってふるえていた。抱えている桃の花枝から、葩が膝の上へこぼれ落ちた。

六

ま夜なかであった。雨が降っていた。

千世はそっと襖をあけて、良人の寝間へ入った。