Japanische Klassiker mit Furigana
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よつやかいだん
四谷怪談
田中 貢太郎
Lesen Sie 四谷怪談 (よつやかいだん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.260 Zeichen · 15 Bildschirme
そこへ伊右衛門が入って来た。
「昨夜帰ってみるといなかったが、ぜんたいどこへ往ってたのだ、夫の留守に夜歩きするとはけしからん奴だ」
お岩は喜兵衛の家へ往っているのでやましいことがなかった。そのうえ女狂いと博奕に家を外にしている夫が、すこし位の外出を咎めだてするのが酷く憎かった。
「わたしは、伊藤喜兵衛殿からお使がまいりましたから、あがりました、わたしが、すこし留守したことを、かれこれおっしゃるあなたは、何をしていらっしゃるのです、わたしのことをお疑いになるなら、伊藤喜兵衛殿にお聞きください」
「喜兵衛殿が呼んだにしたところで、家を空けて来いとは云わないだろう、何を痴なことを申す」
伊右衛門はお岩に飛びかかって撲りつけた。お岩は泣き叫んだが、だれも止めに来る者もなかった。伊右衛門はお岩を散ざんに撲っておいて外へ出て往った。お岩は一室に入って蒲団を着て寝ていたが、口惜しくてたまらないから剃刀を執り出して自殺しようとした。しかし、考えてみると己が死んだ後で伊右衛門から乱心して死んだと云われるのはなおさら口惜しいので、剃刀を捨てるなり狂人のようになって喜兵衛の家へ往った。