Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

そうせきしとわたし

回想 子規・漱石

高浜 虚子

Lesen Sie 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.187 Zeichen · 231 Bildschirme

Aozora Bunko

が、も少し宿が威張った宿であるとか、女中が素的な美人であるとかしたならば、この舞台も映えるかも知れないけれども、そんなに漱石氏が芝居をするほどの舞台でもあるまいというような少し厭な心持もせぬではなかった。私は氏を促し立てて湯殿に這入った。

湯殿は大きな鏡があったり、蝋石のテーブルがあったり、新しい白木の湯槽に栓をねじると美しい京都の水が迸り出たり、四壁にはめたガラスを透して穏かな春の日影が流れ込んで来たりするので、漱石氏の心はよほど平らかになった模様であった。

「これは贅沢な風呂だ。」などと言いながら自分で栓をねじって迸り出る水を快さそうに眺めながら手拭を持った手で風呂の中を掻き廻しなどしていた。白い手拭が清澄な水の中で布晒しのように棚引いていた。二人は春の日が何時暮れるとも知らぬような心持で、ゆっくりと此の湯槽の中に浸って、道後の温泉の回想談やその他取りとめもない雑談をして大分長い時間を此の湯殿で費した。

湯から出た後の漱石氏は前ほどに昂奮していなかった。お重に鋏を借りて縁に投げ出した足の爪を自ら剪ったりした。お重と二人廊下に立って春雨に曇った東山を眺めながら、あれが清水の塔だ、あれが八坂の塔だなど、話し合っていたりした。