Japanische Klassiker mit Furigana
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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
Lesen Sie 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.187 Zeichen · 231 Bildschirme
余は病床日誌と金銭出納簿とを拵えて、それに俳句を書くような大きなぞんざいな字で、咯血の度数や小遣の出入を書いた。
附添婦というのが、あばずれた上方女であって、世間的の応対に初心であった余を頭から馬鹿にしてかかった。病室で喫煙することを厳禁したが彼女は平気で長い煙管でスパスパと遣った。
どうしても咯血がとまらぬので氷嚢で肺部を冷し詰めたために其処に凍傷を起こした。ある一人の若い医師が来て見て、
「こんな馬鹿をしては凍傷を起こすのは当然だ。いくらあせったって止まる時が来なけりゃ血はとまりゃしない。出るだけ出して置けば止まる時に止まる。」
この言葉は頗る居士の気に入ったらしく病み衰えた顔に珍らしく会心の笑を洩らした。実は医師の言ったよりも大分極度に氷を用いていたので、しかも下にガーゼも何も当てないで直接に氷嚢を皮膚に押しつけるようなことをしてこの凍傷を起こしたのであって、それも居士の発意に基いてやったのであったが、此の若い医師の言葉はすべてそれらの神経的な小細工な遣り口を嘲笑して遺すところがなかった。その後居士は少しも病気についてあせる容子を見せず、安然としてただ平臥していた。