Japanische Klassiker mit Furigana
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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
Lesen Sie 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.187 Zeichen · 231 Bildschirme
時は明治二十四、五年の頃で、場所は松山の中の川に沿うた古い家の一室である。それは或る年の春休みか夏休みかに子規居士が帰省していた時のことで、その席上には和服姿の居士と大学の制服の膝をキチンと折って坐った若い人と、居士の母堂と私とがあった。母堂の手によって、松山鮓とよばれているところの五目鮓が拵えられてその大学生と居士と私との三人はそれを食いつつあった。他の二人の目から見たらその頃まだ中学生であった私はほんの子供であったであろう。また十七、八の私の目から見た二人の大学生は遥かに大人びた文学者としてながめられた。その頃漱石氏はどうして松山に来たのであったろうか。それはその後しばしば氏に会しながらも終に尋ねてみる機会がなかった。やはり休みを利用しこの地方へ来たついでに帰省中の居士を訪ねて来たものであったろうか。その席上ではどんな話があったか、全く私の記憶には残っておらぬ。ただ何事も放胆的であるように見えた子規居士と反対に、極めてつつましやかに紳士的な態度をとっていた漱石氏の模様が昨日の出来事の如くはっきりと眼に残っている。漱石氏は洋服の膝を正しく折って静座して、松山鮓の皿を取上げて一粒もこぼさぬように行儀正しくそれを食べるのであった。