Japanische Klassiker mit Furigana
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トソンラン
土城廊
金 史良
Lesen Sie 土城廊 (トソンラン) von 金 史良 (きむさりゃん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.752 Zeichen · 52 Bildschirme
婦は又「毎日人の米をふんだくる」と事毎につけて悪罵するではないか。
成程もとを正せば元三が先達の世話にはなっている。それは爺が先達の助けでこの土城廊に土幕を構えたからなのだ。爺はそれまで或る遠い山奥で土豪の奴僕をしていた。父も母も奴婢なので、生れて以来頭の毛から足の爪先まで何一つ自分のものはなかった。勿論嬶もいない。だが実に五十余年を過ぎて主家は没落し、始めて自由な身になった彼である。世界は新しく開けたのだ。忠僕の爺は悲運の迫った主家の邸下に跪いて慟哭し、山村の人々にも一々腰を曲げて別れを告げ飄然と出掛けて来た。まだ山の峠には雪が真白く積っていた。寒い風に吹かれつつ峠の上に突っ立って感慨無量にじっと懐かしい山村を眺めていたことを、今だに忘れることは出来ない。
だが夢に聞く平壌は二十里もある。歩いて三日、日も暮れ頃辿り着いた時は、さしずめ見るもの聞くもの凡てが戸惑いだった。しかも陰二月暮れの北風はまだ雪と霜に研がれて身をきりさいなんだ。爺はがたがた歯を慄わせつつ街外れの市場をうろつき廻った。ところが薄莫迦げた物腰や異様な風采のために、爺は周囲の支械軍(担荷人)達に取り囲まれて嬲られるようになった。