Japanische Klassiker mit Furigana
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もぐら
土竜
佐左木 俊郎
Lesen Sie 土竜 (もぐら) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.991 Zeichen · 21 Bildschirme
と言った。併し、彼の父親に言わせれば、自分のものとしては、一握りの土さえ無いからこそ未練が残るのでは無かったろうか? もし仮りに、一坪の土地でも、自分達の帰って来ることの出来る自分達の所有としての土地が、この生まれ故郷にあるのなら、或いは、梅三爺は伜と一緒に行く気になったかも知れなかった。……
いよいよ市平の出発の朝がやって来た。
汽車の通る町までは、三里に近い道程があった。市平は夜半の二時頃から起きて旅支度にかかった。長い徒歩の時間が彼をせきたてていた。
「ほんでは、汝あ、まだ行ぐのがあ?」
梅三爺は、すっかり帰り支度の出来た市平を見ると、ぽろぽろと涙を落として言った。
「身体を大切にして、丈夫でろな父! 俺、毎月、五円ずつは送っから……」
こう言った市平の眼も、薄暗いカンテラの灯影に、ちかちかと光っていた。
貧しい生活の中に、いよいよ残して行かれるとなると、さすがに梅三爺は、一緒に従いて行きたいような気がした。――併し彼には、土を見限って光の中に出て行くもぐらもち、再び土に帰ることを許されないもぐらもちの悲哀があった。土から生まれて土に生きて来た彼にとっては、土こそ彼の一部であった。