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Japanische Klassiker mit Furigana

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もぐらとらくばん

土鼠と落盤

黒島 伝治

Lesen Sie 土鼠と落盤 (もぐらとらくばん) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.823 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

三本脚の松ツァンは、ケージをおりて、坑内へ這入って来た。彼は巨大な鉱石に耳をつけて息子の呻きがしやしないか神経を集中した。

「市三! 市三!」

何度も大きな声を出して呼んだ。何ンにも返事がなかった。

「もうあかん!」彼は、ぐったりした。が、すぐあとから、又、「市三! 市三!」と息子を呼びつゞけた。

そこからは、呻きも、虫の息も、何等聞えなかった。鉄管から漏れる圧搾空気だけがシューと引っきりなしに鳴っていた。

「これゃ、どうしたってあかん!」

彼は、頭を両肩の中へ落しこんでしまう程がっかりした。

集って来た死者の肉親は、真蒼になって慌てながら、それでもひょっとすると、椀のように凹んだ中にでも生きているかも知れん。そんな僥倖をたのみにした。事実天井は、墜落する前、椀をさかさまにしたように、真中が窪めて掘り上げられていた。

皆は、掘出しにかゝった。坑夫等は、鶴嘴や、シャベルでは、岩石を掘り取ることが出来なかった。で、新しい鑿岩機が持って来られ、ハッパ袋がさげて来られた。

高い、闇黒の新しい天井から、つゞけて、礫や砂がバラバラッバラバラッと落ちて来た。弾丸が唸り去ったあとで頸をすくめるように、そのたび彼等は、頸をすくめた。