Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さかたのばあい
坂田の場合
豊島 与志雄
Lesen Sie 坂田の場合 (さかたのばあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.335 Zeichen · 29 Bildschirme
また、剣道二段の腕前で、街の不良どもを従えて、一方の首領として暴れまわったとの話もある。がっしりした体躯で、脂肪の少いよい肉附で、鼻の秀でた色白の好男子だが、特質としては、頬がひどく蒼ざめていて、血行がとまったかと思われることがあり、眼差しがぼんやりして、ただ宙に浮き、仮睡の直前にあるような感じを与えることがある。そしてごく稀に、何かの感情の激発によって、頬にぱっと赤みがさし、眼の底がぎらぎら光ってくる。云わば、一つの顔の下から、ふいに他の顔が覗きだすといった工合だ。四十歳に近い現在まで、未だに独身生活をしているので、私行についてはさまざまの話もあるが、それがみな、茲に取立てて述べるにも価しないような単なる浮気沙汰で、女と同棲したという噂もないし、恋愛じみた話が少しもないのは、注意を要する。数年前、亡父と縁故のある会社を自ら罷めてからは、別に為すこともなく、或る経済雑誌社に出資者とも顧問ともつかず関係してるだけで、始終ぶらぶら出歩いていて、家にいる時には、経済や文芸や自然科学などの雑書を、全く無秩序に乱読してるか、それよりもなお多く、ねころんでうつらうつらしている。