Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme

Aozora Bunko

「やっと、着いた」

と自分が言いたいような事を云った。それから十五分ほどしたら町へ出た。山の中の山を越えて、雲の中の雲を通り抜けて、突然新しい町へ出たんだから、眼を擦って視覚をたしかめたいくらい驚いた。それも昔の宿とか里とか云う旧幕時代に縁のあるような町なら、まだしもだが、新しい銀行があったり、新しい郵便局があったり、新しい料理屋があったり、すべてが苔の生えない、新しずくめの上に、白粉をつけた新しい女までいるんだから、全く夢のような気持で、不審が顔に出る暇もないうちに通り越しちまった。すると橋へ出た。長蔵さんは橋の上へ立って、ちょっと水の色を見たが、

「これが入口だよ。いよいよ着いたんだから、そのつもりでいなくっちゃ、いけない」

と注意を与えた。しかし自分には、どんなつもりでいなくっちゃいけないんだか、ちっとも分らなかったから、黙って橋の上へ立って、入口から奥の方を見ていた。左が山である。右も山である。そうして、所々に家が見える。やっぱり木造の色が新しい。中には白壁だか、ペンキ塗だか分らないのがある。これも新しい。古ぼけて禿げてるのは山ばかりだった。何だかまた現実世界に引き摺り込まれるような気がして、少しく失望した。