Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
――こう自分の事を人の事のように書くのは何となく変だが、元来人間は締りのないものだから、はっきりした事はいくら自分の身の上だって、こうだとは云い切れない。まして過去の事になると自分も人も区別はありゃしない。すべてがだろうに変化してしまう。無責任だと云われるかも知れないが本当だから仕方がない。これからさきも危しいところはいつでもこの式で行くつもりだ。
そこでどてらは略話が纏ったものと呑み込んで
「じゃ、まあ御這入り。緩くり御茶でも呑んで話すから」
と云う。別に異存もないから、茶店に這入ってどてらの隣りに腰をおろしたら、口のゆがんだ四十ばかりの神さんが妙な臭いのする茶を汲んで出した。茶を飲んだら、急に思い出したように腹が減って来た。減って来たのか、減っていたのに気がついたのか分らない。蟇口には三十二銭這入っている、何か食おうかしらと考えていると
「君、煙草を呑むかい」
と、どてらが「朝日」の袋を横から差し出した。なかなか御世辞がいい。袋の角が裂けてるのは仕方がないが、何だか薄穢なく垢づいた上に、びしゃりと押し潰されて、中にある煙草がかたまって、一本になってるように思われる。