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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme

Aozora Bunko

実はこの時分には、まだ南京虫を見た事がないんだから、はたしてこれがそうだとは断言出来なかったが――何だか直覚的に南京虫らしいと思った。こう云う下卑た所に直覚の二字を濫用しては済まんが、ほかに言葉がないから、やむを得ず高尚な術語を使った。さてその虫を検査しているうちに、非常に悪らしくなって来た。囲炉裏の縁へ乗せて、ぴちりと親指の爪で圧し潰したら、云うに云われぬ青臭い虫であった。この青臭い臭気を嗅ぐと、何となく好い心持になる。――自分はこんな醜い事を真面目にかかねばならぬほど狂違染みていた。実を云うと、この青臭い臭気を嗅ぐまでは、恨を霽らしたような気がしなかったのである。それだから捕っては潰し、捕っては潰し、潰すたんびに親指の爪を鼻へあてがって嗅いでいた。すると鼻の奥へ詰って来た。今にも涙が出そうになる。非常に情ない。それだのに、爪を嗅ぐと愉快である。この時二階下で大勢が一度にどっと笑う声がした。自分は急に虫を潰すのをやめた。広間を見渡すと誰もいない。金さんだけが、平たくなって静かに寝ている。頭も足も見えない。そのほかにたった一人いた。もっとも始めて気がついた時は人間とは思わなかった。