Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
「駑癡だなあ。そんなに締める奴があるかい。もっと指の股を寛めろい」
と叱られた。叱られながら、どうにか、こうにか穿いてしまう。
「さあ、これでいよいよおしまいだ」
と初さんは饅頭笠とカンテラを渡した。饅頭笠と云うのか筍笠というのか知らないが、何でも懲役人の被るような笠であった。その笠を神妙に被る。それからカンテラを提げる。このカンテラは提げるようにできている。恰好は二合入りの石油缶とも云うべきもので、そこへ油を注す口と、心を出す孔が開いてる上に、細長い管が食っついて、その管の先がちょっと横へ曲がると、すぐ膨らんだカップになる。このカップへ親指を突っ込んで、その親指の力で提げるんだから、指五本の代りに一本で事を済ますはなはだ実用的のものである。
「こう、穿めるんだ」
と初さんが、勝栗のような親指を、カンテラの孔の中へ突込んだ。旨い具合にはまる。
「そうら」
初さんは指一本で、カンテラを柱時計の振子のように、二三度振って見せた。なかなか落ちない。そこで自分も、同じように、調子をとって揺して見たがやっぱり落ちなかった。
「そうだ。なかなか器用だ。じゃ行くぜ、いいか」