Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
何しろ動かなくなった。また動けなくなった。じっとして立っていた。カンテラのじいと鳴るのも、足の底へ清水が沁み込むのも、全く気がつかなかった。したがって何分過ったのかとんと感じに乗らない。するとまた熱い涙が出て来た。心が存外たしかであるのに、眼だけが霞んでくる。いくら瞬をしても駄目だ。湯の中に眸を漬けてるようだ。くしゃくしゃする。焦心たくなる。癇が起る。奮興の度が烈しくなる。そうして、身体は思うように利かない。自分は歯を食い締って、両手で握った段木を二三度揺り動かした。無論動きゃしない。いっその事、手を離しちまおうかしらん。逆さに落ちて頭から先へ砕ける方が、早く片がついていい。とむらむらと死ぬ気が起った。――梯子の下では、死んじゃ大変だと飛び起きたものが、梯子の途中へ来ると、急に太い短い無分別を起して、全く死ぬ気になったのは、自分の生涯における心理推移の現象のうちで、もっとも記憶すべき事実である。自分は心理学者でないから、こう云う変化を、どう説明したら適切であるか知らないけれども、心理学者はかえって、実際の経験に乏しいようにも思うから、杜撰ながら、一応自分の愚見だけを述べて、参考にしたい。