Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
遠くへ行けば行くほどしだいしだいに屋根が低くなって、何百軒とある家が、一本の針金で勾配を纏められるために向うのはずれからこっちまで突き通されてるように、行儀よく、斜に一筋を引っ張って、どこまでも進んでいる。そうして進めば進むほど、地面に近寄ってくる。自分の立っている左右の二階屋などは――宿屋のように覚えているが――見上げるほどの高さであるのに、宿外れの軒を透して見ると、指の股に這入ると思われるくらい低い。その途中に暖簾が風に動いていたり、腰障子に大きな蛤がかいてあったりして、多少の変化は無論あるけれども、軒並だけを遠くまで追っ掛けて行くと、一里が半秒で眼の中に飛び込んで来る。それほど明瞭である。
前に云った通り自分の魂は二日酔の体たらくで、どこまでもとろんとしていた。ところへ停車場を出るや否や断りなしにこの明瞭な――盲目にさえ明瞭なこの景色にばったりぶつかったのである。魂の方では驚かなくっちゃならない。また実際驚いた。驚いたには違いないが、今まであやふやに不精不精に徘徊していた惰性を一変して屹となるには、多少の時間がかかる。自分の前に云った一種妙な心持ちと云うのは、魂が寝返りを打たないさき、景色がいかにも明瞭であるなと心づいたあと、――その際どい中間に起った心持ちである。