Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しおばな

塩花

豊島 与志雄

Lesen Sie 塩花 (しおばな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.421 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

それから鹿革の手套は今では自慢だった。他の如何なる布地のものも革のものも、彼に言わすればそれはただ手の袋であって、手套という文字にふさわしいのは鹿革あるのみだった。其他にはあまり自慢になるものはなかったが、その代り、全くと言ってよいくらい目立たぬほどに、香水を身にふりかけた。ただ悲しいことに、それが如何なる花のエキスだか彼自ら知らなかった。

特におめかしをした所以は、その日、波多野邸でゆっくり彼女に逢える筈だったからである。逢ってそして、彼女に意中を打ち明けるつもりだったからである。

その日の、波多野邸に於ける集りは、なにか変な工合だった。

もともと、故人波多野氏を偲ぶ夕として、その知友たちが、世話役側の知慧で、日取りを、故人の命日から未亡人の誕生日と変えたので、一種の社交的な意味合を帯びて、誰でも参集出来た。故人が多彩な政治家だったために、各方面の有力者がはいっていて、談話にも生気があった。然しこの三四年、戦争やなにかのために、その人数は次第に少くなり、前年からは、食料や交通の関係上、午後のお茶の集りということになり、時間も自由だった。

その昔故人からたいへん世話になったという豪商の野崎氏が、物資の方の面倒をみ、昔から波多野邸の台所をきりまわしてるお花さんが、万事を取り計らった。