Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme
今日、河沿いの街で、王女が灰色の外套を着た男たちに引き立てられてゆくところを見て、われを忘れて、その男たちを打倒したまでのことを語った。
ふと、眼を上げて見ると、いつの間にか、じぶんの周囲に人垣ができていた。杞憂と不安と混ぜ合せたような幾つかの眼が、瞬きもせずに竜太郎を見おろしていた。やがて、そこここに口早やな囁きが起った。いまの竜太郎の話を相手に通訳してやっているのだった。圧しつけたような呻き声や嗟歎の声が、波のようにその人垣を揺り動かした。
穹窿の柱のあたりで、啜り泣くような祈祷の声が起った。
「神よ願わくば王女を助け給え」
五人ばかりの人が跪いて祈っていた。
ほかの人たちが次ぎつぎにそのほうへ歩いて行って、祈りの度に加わった。そして、その後で、深い静寂が来た。虚無のように深い沈黙だった。
老人は、額に手をあてて黙然と俯向いていたが、ややしばらくののち、静かに顔をあげた。
「われわれは、失敗しました。主要な原因は、われわれが信念を欠いていたという一言につきると思う。われわれの同志のなかに、一種の自己満足からくる、眼に見えぬ微妙な対立があった。最もいけないのはわれわれ自身、それに気がついて居なかったということです。