Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme
それから、三時間ほどののち、竜太郎は、ガリッツィヤ・ホテルの長い廊下を歩いていた。黄昏の色が濃くなって、廊下の隅々が、おんどりと闇をたたえていた。
ソルボンヌ大学のダンペール先生のところで、写真の主がリストリア国の王女だと知ってから今日まで竜太郎の胸のうちに育まれていた夢想も、希望も憧憬も、一挙にして跡形もなく、消え失せてしまった。……竜太郎の夢は、死んだ。
今日まで、ひとすじに憧れわたったその人は、縁もゆかりもない、まったくの別人だった!
竜太郎は、自嘲の色をうかべながら、こんなふうに、つぶやく。
「おれは、いったい、何という、夢をみたんだ」
片腹いたくもあり、滑稽でもあった。竜太郎は、ためいきをつく。
「また、始めからやり直さなくてはならない」
竜太郎は、悒然とした面持でじぶんの部屋の扉の前に帰りついた。
ふと、妙なことを発見して、厳しく、眉をひそめた。どうしたというのだろう。たしかに鍵をかけて出たはずだのに、扉が二寸ほど開いている。
竜太郎は、急に顔をひき緊めると、扉の隙間に耳を当てて、内部のようすを窺った。誰か、部屋の中にいる! 跫音を忍ばせながら、微妙に動きまわっている。