Japanische Klassiker mit Furigana
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つぼ
壺
山本 周五郎
Lesen Sie 壺 (つぼ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.624 Zeichen · 34 Bildschirme
ところを掘ってみろ、何処からか壺が一つ出てくる筈だ、わが道の極意は一巻の書にしてその壺に封じてある、掘り当てたらその秘巻はおまえのものだ」思いもかけない言葉なのですぐには信じかねた、疑わしげにじっと見あげる七郎次には眼もくれず、又右衛門はしずかに、「おまえに必要なのはその掘り起す努力ひとつだ」そう云った、「しかしむりにとは云わぬ……」そしてそのまま住居のほうへ去ってしまった。
七郎次は暫くそこに立ちつくしていた、奇矯のようでもあるしごく当然のようにも思える、道の秘奥を伝授するためには、ずいぶん並はずれた方法をとった古人の逸話も少なくない、これもその例のひとつかも知れぬではないか。かれは半年あまりも側に仕えて、荒木又右衛門という人物をよく見てきた、はなばなしい武名とはおよそ反対に、その日常はきわめて謙虚な、高ごえでは笑うこともないような、ひとくちに云うと隠棲人のような暮しぶりである。奇矯を弄して快とするようなひとがらでは決してない、……よしやってみよう、七郎次はそうきめて屋敷へ戻ると、物置から鍬を一挺とりだして来てすぐに草地へひき返した。