Japanische Klassiker mit Furigana
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へんなおとこ
変な男
豊島 与志雄
Lesen Sie 変な男 (へんなおとこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.508 Zeichen · 81 Bildschirme
」
「では戦争に行かれるといいですよ。」
今井は何とも云えない嫌悪の表情をした。
「あなたの理論から云いますと、」と中村は追求した、「戦争もいいじゃないですか。」
「戦争は人を狂人になすから嫌です。」
「どうしてです?」
今井は何とも答えないで、それきり押し黙ってしまった。
「もうそんな話は止しましょうよ。私嫌だわ。」と澄子が口を出した。
中村は何と思ったか、俄に笑い出した。そして、今晩頭の割れたお化が出るなどと澄子をからかいながら、話は他の方へ外れていった。ただ今井ばかりは一口も口を利かなかった。十二時が打つと、喫驚したようにして室へ上っていった。
「十二時になって慌てて寝るなんて、今井さんの柄にもないわ。」と澄子は小声で云った。然しそれは当っていなかった。今井は室にはいったが寝もしないで、長い間考え込んでいたのである。
そしてその晩のことは、或る印象を皆に与えた。辰代は、今井の話がよく分りはしなかったが、その全体から不気味な底深いものを感じて、多少畏敬の念の交った不安さを覚えさせられた。今迄単に変人だと思っていたものが、案外根深い所から来ているのであって、まかり間違えば、善にしろ悪にしろ、どんなことを仕出来すか分らない、といったような気がした。