Japanische Klassiker mit Furigana
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へんじんでん
変人伝
佐々木 邦
Lesen Sie 変人伝 (へんじんでん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.178 Zeichen · 21 Bildschirme
と先生が追究した。
「分りません」
「分らないことを平気で言っちゃいけない。誰か?」
「それは遺産を当てにして待つという意味です」
と点数の欲しい奴が答えた。それで宜いのだった。僕はその時考えた。叔父は独身だ。これから先も嫁は貰わないらしい。叔父に一番近い関係を持っているのは総領甥の僕だ。僕は叔父の遺産を待っていてやろう、と。
僕が高等学校を卒業する間際に、父から叔父へ手紙が行った。道彦は東京の大学へ入るから、監督しながら玄関番を勤めさせてくれというのだった。叔父のところへ置いて貰えば、下宿よりも安く上る。監督もさることながら、それが主な目的だった。しかし叔父は断って寄越した。迚も勤まるまいから一応辞退する。それに学問をやらない人間では張合がないというのだった。次に母から頼んでやった。叔父は母の言うことなら、大抵承知する。今度は引受けるのみならず、学資一切を持ってやるけれど、勤まるか何うかと念を押して来た。僕は無論勤まる積りだった。
父も母も喜んだ。一家が叔父に救われた形だった。弟がもう高等学校へ入って、その下に妹が二人女学校へ通っているのだから、僕の東京遊学は容易でなかった。