Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
朝のヨット
曙の色がほのかに東の空を染めて、間もなくその日の最初の太陽の光が、はるかな海面を錫箔のように輝かせた。洋上はまだ薄暗く、空と海の境もはっきりしなかったが、とにかく、海には朝が来ていた。
鴎が一羽、そのヨットの上空で、ゆるやかに翼を上下していた。鴎は、まるでどこまでも離れない決心をしたもののように、そのヨットと方向と速度を一つにして、朝空を動くかなりの風の中を翔びつづけた。
「行ってくるよ」
少年はスナイプ型のヨットに乗り、その舫綱を解きながら、少女に声をかけた。
「ねえ、つれて行って。私も」
「だめだったら」
少年は、怒ったような声音だった。
「海は、二人でたのしみに出かける場所じゃない。人間が、一人きりでぶつかりに行く相手なんだ」
「私よりも、海のほうが好きなの?」
少年はいらだち、神経質に眉をよせた。
「君といっしょにいると、僕は、ときどきもう一人の自分が、ひどく遠いところに置き去りにされているような気分になる。僕は、そのもう一人の自分を取りもどすために海へ行くんだ。……海は、人間を本当の一人きりにしてくれる場所だからね」
「どうして一人きりになりたがるの?」