Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

正面玄関の脇の、便所の隣りのその小部屋には、朝も昼も夕方も、まるっきり日が当らなかった。北東に面したただ一つの窓の前は、卒業したぼくらの植えた桜やケヤキや椿などが、骨みたいな細い枝を縦横にはりめぐらせ、陰気なその部屋をいっそう薄暗くしている。そこに顔をそろえた総計五名のうち、ぼくのほかの男たちはいい合わせたようにかなり強度の胸部疾患者ばかしであり、陰気な咳ばかりつづけていた。それも、山口という同学年生をのぞいては、みなうっすらと髭が生えた顔にも見おぼえがない上級生であり、年長者である。たぶん、かれらはここ二、三年動員不参加のために落第をつづけて、いまさら中学生とは恥ずかしいが、ただ上級学校へ行く資格のために出席をカセごう、といった人びとだったのだろう。かれらは皆、おそるべく勤勉であり、おそるべく生真面目であった。かれらに、それは友だちのいないせいだったかもしれない。

ぼくは、とにかくそのしばらく学校を遠ざかっていた人たちが見せる、へんに腰が低く、そのくせへんに年長者を誇示する、エゴイスティックで点取虫じみた応対がきらいだった。豪放でユーモラスで融通のききすぎる与太公みたいなのにも感動しないが、落第組はみんな官吏みたいにインギン無礼だった。