Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
ような車輪の響きまでが、アブクのように空ろに浮かびあがってくる。人気のない、平坦な白い石の砂漠のようなしずかな屋上に、ボールはポクンと壁に当って、ぼくの足もとに転げてかえってくる。
同じ音程でくりかえす、奇妙な呟きに似たボールのその手ごたえのある響きこそが、つまりはぼくの孤独を確証するこだまだった。そして、それは比較的、青空のように澄んだ一途な気分になれる、ぼくの好きな遊びだった。「汗をかきたい」という衝動が起こるたびに、だからぼくはボールを握り、こっそりと一人で屋上にかけ上った。
壁には、ちょうどストライクのあたりに、黒いしみがあった。ぼくはそこを目がけて、投げる。――えい、打たしちまえ、インサイドだ。レフト、バック、などと呟きつつ、一人でカウントをとり、ぼくはそうして六大学のリーグ戦を挙行したのだ。無意識のうちに手加減をしてしまうのか、どうしても母校のケイオーは敗けなかった。ぼくは熱心に敵方のときも大真面目で投げているので、それが不思議でならなかったが、それでも相手方をシャット・アウトに抑えたときの気分は、なんともいえず嬉しかった。
屋上には、たいてい初冬の荒い風がひとりで居丈高に駈けめぐっていたが、閑静でもあったし、晴れた日には日当りがよかった。