Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

「……いままで、医務室で寝ていたんだ」と、彼はいった。「そして、思いついたんだけどね、ぼく、生物ってやつは、毎日なにかを殺さずには生きて行けない、っていう気がするんだ。……人間だって生物だろ。日本人なんて、人口が三分の一ぐらいになるまで、みんな殺しちまえばいいのさ。ことに病人たちなんてね。とにかく、強いものが勝つのさ」

彼が、なにを考えていたかは知らない。が、へんにこの言葉があざやかに印象に残っている。そして、そのときぼくが、赤い頬で屋上の石をみつめながらこの言葉をしゃべった山口に、強い感動をうけた記憶も。――

ぼくがなんと答え、正確になんとしゃべったかは忘れた。が、いつのまにかぼくは興奮し、例によって夢中でたしかに生物は生物を食ってしか生きては行けないこと、強いものが勝つということ以外に、絶対的ななんの法則も生物界にはないと思う、という彼のその言葉への同感を、熱心にしゃべっていた。――ぼくは、その日聞いた彼の家のことについては、結局なにもいわなかった。いう必要がなかった。あらためて、ぼくはいままでと同じ連帯・友情を錯覚させるこの習慣がつづくのを、心からのぞんでいたのだった。