Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
「生きていたいか? やっぱり」
「さあ……、べつにそうも思わないがな」
いって、はじめてぼくは、何気ないこの一見冷静なような彼との会話が、重大な意味を含んでいることに気づいた。
「とび下りたら、ペシャンコだね。いずれにせよ、ひと思いだ」
と、重ねて山口はいった。ぼくは質問した。
「……君、とび下りるの?」
「とび下りるんだったら、どうする?」
からかうような声音で、しかし山口のその語尾の余韻は、彼が本気なのを語っていた。彼はぼくをみつめた。
とび下りるつもりなんだ、山口は、とぼくは思った。
ぼくは困惑した。
「……しかたないだろう。ぼくは、どうもしないよ」
やがて、ぼくは真面目にそう答えた。そのとき山口はぼくにとって、牛肉屋の店先に吊された赤い肉塊のような物質、ぼくにどうすることもできない、「他人」の一人でしかなかった。いくらとめようとしたって、とめることはできない。下手をすればぼくまでいっしょに墜落する。……ぼくは思った。死んだり生きたりは彼の自由なので、お節介にぼくが容喙する余地はないのだ。ぼくがすべての能力をあげても、結局は山口という他人は、それが他人である以上、どうすることもできない。