Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

ぼくが彼を、彼と二人きりでの隠密な関係を、そのときの連帯をかりに愛しているとしても、要するにそれはぼくの勝手だろう。山口の生きたり死んだりは、つまり彼の自由でしかないのだ。

「ねえ。とび下りるなら、とび下りたって、いいんだよ」

くそ真面目にぼくはもう一度、そう彼にいった。山口は、頬にこわばった微笑をつくりつけて、その微笑は、すでにぼくの手のとどくものではなかった。ぼくは、ぼくの理解を絶する彼の家の「方針」を思い出した。きっとそれなりの理由があるのと同じように、いくらぼくにわけがわからなくても、彼には彼の理由があるだろう。だから、もし彼がどうしてもとび下りたいのだったら、ぼくにはそれをとめる能力も資格もない。彼が突き落してくれといっても、ぼくにはそれを扶けて突きとばしてやるだけの理由も必要もないのと同じように。……ぼくにできることは、山口の邪魔をしてやらないこと、それ一つだ。生きるなり、死ぬなり、彼の勝手を、そうして尊重してやることだけだ。

べつに、彼の自殺が恐かったのではない。くどくどと思いつづけながら、突然、それとは無関係な、全身のひきしまるようなある理解がきた。