Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつくさせんき

夏草戦記

山本 周五郎

Lesen Sie 夏草戦記 (なつくさせんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.107 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

三笹から夏井の谿流を渡って来た小谷隊は、二日めの昏れがたに、大竹山の両がわの高原にある波山という部落に着いて野営をした。……片方は叢林の密生した山の急な斜面だし、高原の左は段さがりに低くなって、三春郷へ通ずる大越のあたりまで見とおすことができる、眺望がひろいので、敵襲に備えるには究竟の場所だった。めずらしく尖隊もいっしょの陣泊りで、晩には鶏が煮られたり、少しずつではあるが酒もくばられた。山へはいって以来はじめての馳走だし、高原の夜の思いがけない涼しさもなにやら拾いものをしたようで、みんな久しぶりに、気持の浮きたつのが感じられた。

「おいみんな、おれたちのあとから若い娘が跟けて来るのを知っているか」ひとりがわずかな量の酒をさもたいせつらしく、舐めるようにして啜りながらそう云いだすと、「なんだきさま知っていたのか、眼のはやいやつだ」と云う者があり、おれも知っているぞ、おれも見たなどと、四五人がわれがちにその話をはじめ、まだ気づかなかった者はなんだなんだと興ありげに膝を寄せて来た、「えへん」とはじめに話しだした男がきどった咳をして「年はまず十六か七だろうな、いいから黙って聞け、まるぽちゃでふんわりと棉の花のように軽そうなからだつきだ、遠山に霞のかかったような眉、山茱萸の実をふたつ重ねたようなおん唇、髪は」