Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつくさせんき

夏草戦記

山本 周五郎

Lesen Sie 夏草戦記 (なつくさせんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.107 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

いったいどうしたのですかという源七の質問に対して、それはむしろおれのほうで知りたいことだと小六は答えた。

「お旗がしらといっしょに見まわりにいったらかれがいない、用でも足しにいったかと声をかけたが返事がないのだ。あれに限って掟にそむくようなことはない筈だ、お旗がしらもそう云われた、すると四半刻も待ったろうか、やがてかれが切通しを馳け登って帰って来たのだ」

「なにか申しませんでしたか、出ていった理由は云わなかったのですか」

「此処へつれて来てから、お旗がしらとおれで繰り返し訊問した、けれども頑として理由を云わない。掟にそむきました、御法どおりに願います、……その一点ばりだった、どうしようもないのだ」

「ではやはり、死罪でございますか」

「明け七つがその刻限だ」

小六はそう云いながら、今まで書いていたものの上へ眼をやった、それはやがて新九郎の死罪に当って読むべき申渡し状だった。源七はしばらく黙っていたが、やがて面をあげながら「お願いがございます」と云った、「わたくしと三瀬とは幼少からの友でございました、ことに宵のうちかれから聞きかけた話がございます、今生の別れに話の残りを聞きたいと存じますが、おゆるし願えませんでしょうか」