Japanische Klassiker mit Furigana
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なつくさせんき
夏草戦記
山本 周五郎
Lesen Sie 夏草戦記 (なつくさせんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.107 Zeichen · 41 Bildschirme
「おれはそう思うのだが……」源七は眼を伏せたまま云いだした、「事情をすっかり話すべきだと思うのだが、どうだろう、……掟はたしかに掟だ、けれどもこんどの場合は違う、内通者をみいだして斬ったということは全隊士の安全をまもったので、つきつめて云えば立番をする根元を断ったのだ、ここで死罪になる法はない、おれは不承知だ」
「しかしそれでどうなる、事情を話したらどうなるんだ」
「少なくとも死罪にはならぬ筈だ」
「そうかも知れない、だが死罪をまぬがれたとして、さてどうなるんだ」新九郎はじっと友の顔を見た、それからしずかにかぶりを振ってつづけた、「死ぬことなど問題ではない、肝心なのはどう生きるかだ、おれは生きた、こうと信ずることを為遂げたんだ、仔細を問わず死罪だという、軍の掟を枉げてまで、命を助かろうとは思わないよ」
しずかなこえだったが動かしがたい決意がこもっていた。まさしく、かれにはもういささかの未練もなかった、掟にそむいて罪死するという不名誉も他人からみてのことで、自分がなにをしたかは自分がいちばんよく知っている、真実さえたしかなら死の名目などは末の末だ、……おれは生きた、そういう確信をもって死ねるだけでも、もののふと生れたかいがあったというべきである。