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Japanische Klassiker mit Furigana

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よるのよろこび

夜の喜び

小川 未明

Lesen Sie 夜の喜び (よるのよろこび) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.768 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

こんな晩に夜烏が啼くと、きっと人が死ぬんだと私は考えて、どうかして烏の啼かないようにと心に希っていた。お繁は三十三四の痩せた女の人である。もう、二三ヶ月前から心臓病で臥ているのであるが、この二三日はめっきり衰えて、近所の人々は寄れば、その人の噂をしている。殊に、昨日今日は、医者も一日に二三度ずつ来て、親類の人々も繁く出入りしている様子である。

私の家と、お繁さんの家とは僅かに圃を一つ距てているばかりで、その家の屋根が見える。窓に点っている燈火が見える。月の光りは、圃に植えられている、繁った、丈の低い野菜の葉の上に流れて、お繁さんの屋根が、灰色にぼうとなって浮き出ていた。いつにない、赤々と点っている窓の障子に映った燈火は、私に、何物かこの夜の中に起るべき異常な事件を予知しているように思われて、怪しく胸が躍るのを覚えた。

私は、かかる夜を讃美し、かかる夜を怖れる。

西の空が飴色に黄色く色彩られて、曇った日は暮れかかっている。

音もない、外の黒い木立の姿が、尼さんの喪服を着て立っているように窓の内から見られた。色の青褪めた、貧に窶れた母親が娘の枕元に来た。