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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

「ところで、君ひとり……?」

「……? ……」

豹吉には小沢のきいていることが、直ぐには判らなかったが、やがて、

「ああ」

と、豹吉流に解釈して、

「――むろん一人です!」

昂然と胸を張って答えた。

「そう……? しかし、まア、一人でもいいだろう」

「一人で十分ですよ」

「そりゃ、一人でも悪いとはいえないが……。とにかく、はいり給え!」

そして小沢は急に声をひそめると、

「――君、自首しに来たんだろう……?」

「自首……?」

豹吉は思わずきき直した。

「そうだ。しかし、よく自首する気になったね。大したもんだ」

小沢はひとりでそう決めていた。

豹吉はあっけに取られた、腹が立つというより、むしろ噴きだしたかった。

「早合点もええ加減にしろ。ここは中之島公園とちがうぞ」

と、豹吉は例の唾をペッと、S署の玄関の石段の上へ吐き捨てて小沢に言った。

「――誰が自首なんかするもんか」

「じゃ、何しに来たのだ……?」

「…………」

咄嗟に答えられなかった。雪子を救いに来たと言えやしない。

「正直に云ったらどうだ。自首だろう……?」

「…………」

「年貢の収め時――という古くさい言葉があるが、君もそこへ気がついたのは莫迦でなかったよ。