Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほな、千円くれ」

「……? ……」

「兄貴のびっくりしてる所を見たら、千円くれる約束やったな」

亀吉は手を出した。

「阿呆! ここは豚箱やぞ。一銭も持ってるか」

豹吉はそう言って、伊部の方へ寄って行った。

「よう。君か。ひょんな所で会うたな」

伊部はにやにや笑っていた。

「生きたはりましたんか」

豹吉はすっかり大阪弁だった。

「うん。泳ぎを知ってると、なかなか死ねんもんでね」

「あ」

と、豹吉は釈然として、伊部が死んだものと思い込んでいた自分の間抜けさ加減に苦笑したが、しかし、なぜ伊部が留置場に入れられているのか、これは判らなかったので、きくと、

「なアに、一水浴びた勢いで、浴びるようにアルコールを飲んだんだよ。酔っぱらって、素裸で歩いてたらしいね」

「泳ぎを知ったはるとは、知りまへんでしたなア」

「泳ぎか。およばずながら、亀みたいもんだ。あはは……」

亀ときいて、亀吉は自分のことを言われたのだと、勘違いして、

「あのウ、わては金槌だンね」

と、黒い顔を突き出した。

「なんだ、お前は……?」

「青蛇団だす」

亀吉はぱっと上衣を脱ぎ捨てると、背中を見せた。

青い蛇の刺青!