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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

豹吉はペッと唾を吐いた。

同じ仲間の「ヒンブルの加代」と異名のあるバラケツであった。

バラケツとは大阪の人なら知っていよう。不良のことだ。

しかし、ヒンブルの加代は掏摸はやらない。不器用で掏摸には向かないのだ。

彼女の専門は、映画館やレヴュー小屋へ出入するおとなしそうな女学生や中学生をつかまえて、ゆする一手だ。

虫も殺さぬ顔をしているが、二の腕に刺青があり、それを見れば、どんな中学生もふるえ上ってしまう。女学生は勿論である。

そこをすかさず、金をせびる。俗に「ヒンブルを掛ける」のだ。

それ故の「ヒンブルの加代」だが、べつに「兵古帯お加代」という名も通っている。

洋装はせず、この腕の刺青をかくすための和服に、紫の兵古帯を年中ぐるぐる巻きにしているからだ。

従って、髪も兵古帯にふさわしくお下げにして、前髪を垂らしているせいか、ふと下町娘のようであり、またエキゾチックなやるせなさもある。

昔はやった「宵闇せまれば悩みは果てなし……」という歌にも似た女だと、うっかり彼女に言い寄って、ひどい目に会う学生が多い――それほどお加代は若い男の心をそそる魅力を持っていた。