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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

それかあらぬか、仲間の男たちは、

「ヒンブルの加代のことを考えると、何だかやるせなくなって来る」

と、空しく胸を焦していたが、ただ一人豹吉だけは、癖の唾を吐いても、鼻もひっ掛けなかった。

それ故、雪子の代りに見たお加代の姿ほど、豹吉を失望させたものはなかったが、一方、

「なんだ、お加代か」

という豹吉の言葉ほど、お加代を失望させたものはなかった――とも言えよう。

しかし、さすがにお加代は寂しい顔を見せずに、

「あたしで悪かったわね。――折角誰かさんに会いに来たのにね」

と、豹吉より四つ歳上だけの口を利いた。

「阿呆ぬかせ! 俺はこいつらに珈琲を飲ませてやろうと思うて、来ただけや」

連れて来た靴磨きの兄弟が、この際の楯になった。

勿論、そのつもりでハナヤへ来たには違いない。しかし、その二人を連れて来るという思いつきを豹吉に泛ばせる胸底には、たしかに雪子のことがあった。

一人で来るのにもはや照れていたのだろうか、それとも、いつもは一人で来るのに、今日はいきなりそんな連れと一緒に来たことで、雪子をあっと言わせたい例の癖を出したのだろうか。

いずれにしても、肝腎の雪子がいないとすれば、まるでキッカケをはずされた役者のようなものであった。