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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

それには答えず、お加代は、

「あんた御馳走したげるのはいいけど、寝てる子起すようにならない……? その子たち、やみつきになったらどうするの……?」

「兵古帯のくせに分別くさいこと言うな」

「あんたは分別くさくなかったわね」

「何やと……?」

「分別があれば、あんな怪しい素姓の女に参ったりしないわね。何さ、そわそわ時計を見たりして……。」

「怪しい……? 何が怪しい素姓だ……?」

「あら、あんたあの女の素姓しらないの?」

お加代の声はいそいそと弾んだ。

「素姓みたいなもン知るもんか」

豹吉はペッと唾を吐いて、

「――女に惚れるのに、いちいち戸籍調べしてから惚れるくらいなら、俺ははじめから親の家を飛び出すもんか」

古綿をちぎって捨てるように言った。

口が腐っても、惚れているとは言わぬ積りだったが、この際は簡単に言ってのける方が、お加代への天邪鬼な痛快さがあった。

果して、お加代は顔色を変えた。

豹吉が雪子に興味を抱いているらしいことは無論知っていたが、しかし、はっきり豹吉の口から聴いてみると、改めて嫉妬があり、

「ただでは済ませるもんか」

という自尊心のうずきが、お加代の額にピリッと動いた。