Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
亀吉はふと悲しそうに、
「――二人とも死んでしもた」
「阿呆、その両親と違うわい。心の良心や」
「ああ、それか。それやったら、一寸だけある」
「ほな、返しに行け」
「…………」
亀公は何か言いたそうに、唇を尖らせた。
「復員軍人テお前どんなもんか知ってるやろ。たいてい皆いやいや引っ張り出されて、浦島太郎になって帰って来た連中やぞ。浦島太郎なら玉手箱の土産があるけど、復員は脊中の荷物だけが財産やぞ。その財産すっかり掏ってしもても、お前何とも感じへんのか」
「…………」
亀吉は眼尻の下った半泣きの顔を、お加代の方へ向けた。
お加代は煙草を吹かしながら、ぼそんと口をはさんだ。
「……良心か。ペペ吉も良心なんて言い出しちゃ、もうおしまいだねえ。女に惚れると、そんなにしおらしいことを云うようになるもんかなア。掏摸をするのに、いちいち良心に咎めたり、同情していた日にゃ、世話はないわねえ」
「お前は黙っとれ」
ペペ吉の豹吉はきっとお加代を睨みつけて、
「おれの言うてるのは、そんなけちくさい良心と違うわい」
「じゃ、けちくさくない良心テ一体どんな良心なの?」
「けちくさい仕事はせんというのが、掏摸の良心や、浦島太郎みたいに、ぼうっとなっている引揚早々の男を覘うのは、お前けちくさ過ぎるわい。