Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
し切った娘であることを、はっと固唾を飲むくらいありありと示していた。
もっとも、小沢はいたずらに固唾を飲んで、いたずらに観察していたわけではない。
そんな余裕はなかった。
とにかく娘は、
「助けて下さい!」
と、言っているのだ。
しかし、どう助ければいいのか。――いや、そんなことを考えている場合ではない。
何はともあれ、小沢は著ていたレインコートをあわてて脱いだ。(そのレインコートは軍隊用のものだから、もっと別の名があった筈だが、この際そんなことはどうでもよい)
そして、娘の裸の体へぱっと著せてやった。
「ありがとう」雨の音で消されてしまうくらいの小さな声で言って、娘は飛びつくように、レインコートにくるまってしまうと、ほっとしたようだったが、しかし、なお恐怖の去らぬらしい険しい表情を、眉に見せて、
「…………」
小沢にすがりついて、ガタガタ顫えていた。
言葉がないだけに、一層必死の気持が現れているようだった。
「…………」
小沢も口は利かず、咄嗟に身構える姿勢で、その娘が来た方向へ、眼を光らせた。
そして、暗がりの中に不気味に光っている雨足を透して、じっと視線を泳がせていると、ふと黒く蠢いた気配がした。