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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

が、何となく態度や表情がおかしいと、ピンと来たのだ。いわゆる挙動不審というやつである。

しかし、つけて行きながら、本当に掏ったのだ――という自信はなかった。いわば無責任な尾行であった。いや、もしかしたら、無気味な尾行かも知れない。

ところが、男はちらと振りむいた。

視線がばったり合った。

途端に、男はぎょっとしたようだった。そしてぱっと駈け出した。

「あ、やっぱし……」

おれの直感があたった――と咄嗟に呟きながら、小沢はあわててそのあとを追うて駈け出した。

だんだん距離がつまって来た。

「おい、待て!」

はじめて小沢は声を掛けた途端、

「ちょっと待っとくなはれ。ちょっと……」

と、うしろから声を掛けられた。

思わず振り向いた。

その拍子に、小沢は手を掴まれた。

亀吉だった。――が、小沢には見覚えがない。

「誰だ……?」

「…………」

亀吉はひょいと黒い首をひっこめて、もじもじしていたが、やがて思い切って、

「――わてだっか。わては……掏摸だんネ」

「えっ……?」

と、小沢はまるで、立ったまま尻餅をついた感じだった。

掏摸を追うていたつもりだのに、掏摸に追われていたとは、一体何としたことであろう。