Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
――大将、靴みがきまひょ」
「大将、みがきまひょ!」
一人の男が通り掛ったのだ。
男はすっと寄って来た。
「オー・ケー」
おおけに――と、O・Kの意味の二つを含んで言い、次郎がブラシを取り上げて、ひょいと顔を見ると、昼間ハナヤで見た亀吉だった。
「おい、お前ら、兄貴知らんか」
亀吉は豹吉の居所をききに来たのだった。
「兄貴テ……? ああ、あの掏摸さんだっか」
と、次郎と三郎は、昼間ハナヤで豹吉を兄貴と呼んでいたことを、想い出した。
「こらッ、大きな声を出すな!」
街頭で、掏摸という言葉が出ると、さすがに亀吉は臆病だった。
「――あれから、どこイ行きよったか、知らんか」
「さア、知りまへんな。用事だっか」
と、次郎はませた口を利いた。
「用事どころかいな。一大事や」
亀吉は声をひそめた。そして、
「――困ったなア。ほんまにどこイ行きよってんやろなア。ひとがこない探しとるのに……」
と、ブツブツ口の中でひとりごとのように言っていた。
「ハナヤできいても分れしめへんか」
「うん。今、ハナヤへ行って来たばっかしや」
そう言いながら、亀吉はキョロキョロそのあたりを見廻していた。