Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
自分には振り向いてくれようとしないくせに、あのストリート・ガールにのぼせているような豹吉なんぞに、こんなに会いたいなんて、一体どうしたことだろう……。
「ヒンブルのお加代ともあろうものが……」
と、そんな自分がいじらしいと思う前に、まず腹が立って、だから、一層いらいらした声で、
「あんた、これっぽっちしか持ってないの?」
と、娘を睨みつけた。
「…………」
「返事ぐらいしたら、どう……?」
お加代はいきなり娘の頬を撲りつけた。
娘はキョトンとした眼で、撲られたあとを押えもせず、お加代を見上げていた。
「何さ、その平気な顔は……」
もう一度撲ろうとすると、
「おい、お加代!」
と、声が来た。
「――堪忍してやれ、そいつは唖やぜ」
そう言いながら寄って来たのは、例の刺青の男だ。
「え……? 唖だって……? 本当かい、針助さん」
針助という名を記憶している読者がいる筈だ。
いやもっと記憶の良い読者なら「ガマンの針助」という名でおぼえている筈だ。
更に、昼間、ハナヤでお加代が豹吉に、雪子が昨夜拾った男が「ガマンの針助」だと、語って、危く豹吉を狼狽させかけたことを、おぼえている読者もあろう。